会社設立の仕方

株式会社設立までの「流れ」と「手続き」ポイント解説。

株式会社設立の流れとその手続きの概要について解説しています。

ネット上には格安代行業者やゼロ円での設立代行業者などもありますが、あまりに簡単に設立手続きをしてしまった為に、不備が見つかり、設立後すぐに変更登記を行わざるを得なくなった会社も少なくありません。

一度、定款認証を受け、登記をしてしまうと、簡単には書類の修正はできません。認証手数料や登録免許税を余分に払うことになります。変更登記は素人が簡単にできる類の手続きではありませんから、時間も掛かります。無駄以外の何物でもありません。

株式会社設立手続きの全体像を把握し、最低限の知識を仕入れてください。失敗のない株式会社設立を行いましょう。

では、さっそく見て行きましょう!

株式会社設立後のオフィスイメージ

株式会社設立(発起設立)は全部で7ステップ!

  • STEP1 まずは株式会社の基本事項を決める。決める事項はたったの8つ。
  • STEP2 設立手続きに向けて、事前の準備を行う
  • STEP3 定款を作成する・公証人役場で定款認証を受ける
  • STEP4 役員(取締役・監査役等)を決める
  • STEP5 資本金を払い込む
  • STEP6 管轄の法務局で株式会社設立登記の申請を行う
  • STEP7 税務署などへ株式会社設立後の各種法人設立届出を行う
  • まとめ:設立後の適正かつ円滑な事業経営には専門知識(税理士・社会保険労務士)が不可欠。でも、あなた自身がスキルアップすることにより専門家は、必要ありません。一度体験してしまえば、なんだこんな程度の事だったのか。。。と、感じるはずです。無駄な出費は、極力抑えましょう。

 

 

STEP1 まずは株式会社の基本事項を決める。決める事項はたったの8つ。

まず、株式会社の基本事項である商号や事業目的などを決定します。これらの事項は、主に発起人(設立時株主)が決定します。設立時の役員が決めれる事項もありますが、発起人が一度に決定してしまう方が後の手続きや書類が簡単になります。

(1)商号を決める

株式会社の「名前」「名称」です。商号と呼ばれ、基本的には自由に決めることができます。同一住所に同一の商号がある場合は、登記できません。商号を決定する際は、会社法だけでなく、不正競争防止法等にも注意する必要があります。

(2)事業目的を決める

事業目的は「何をする会社なのか」を対外的(株主や取引先、金融期間等)に明確にするものです。目的の範囲外の事業はできないので、当面は予定していなくても、将来行いたい事業内容も挙げておくとよいです。他人から見て、どんな事業をしているか分かるように「具体的」であること、行う業務に「違法性がない」こと、「許認可が必要な業務はクリアしているか」ということに考慮してください。

(3)本店所在地を決める

会社の本店とは、会社の主たる営業所のことで、会社の本店所在地は、「会社の住所」です。後に定款を作成する際には、本店の所在地は、本店の所在する「独立の最小行政区画」の記載だけで足ります(「独立の最小行政区画」とは、例えば「兵庫県神戸市」「東京都豊島区」という範囲です)。

(4)事業年度を決める

会社は1年ごとに会計の区切りがあり、それを決算といいます。その決算期間を事業年度といい、開始月は自由に決めることができます。ただし、1年を越えることができないので、例えば「毎年4月1日」から事業年度を開始にするのであれば、「翌年3月31日」が決算日となります。

(5)資本金を決める

会社が事業を開始するときに、自分で持っている運転資金です。いくらでもかまいませんが、資本金が多ければ会社の資金繰りが楽になります。資本金の出資方法には、お金以外に「物」による出資も可能です。

資本の額を決める際は、対外的信用、節税面などあらゆる面を考えて決定します。

(6)出資者(設立時株主)を決める

株式会社設立時の出資者(発起人)は、設立後「株主」となります。出資者が会社に対して出資をし、その見返りとして会社が出資者に配当(利益還元)をするということになります。法人でも個人でも出資者(株主)となることができます。また、外国の方や未成年でもなることが可能です。

(7)株式譲渡制限の有無を決める

株式会社が発行する株式は自由に譲渡できるのが原則です。しかし、株式の譲渡による取得について、定款に記載することにより制限を設けることができます。これは会社の乗っ取り防止や会社の望まない者に株式が譲渡されるのを避けるために置くものです。

(8)機関設計(役員構成)

会社の意思決定や運営・管理などをする機構や地位のことをいいます。具体的には「取締役」や「取締役会」、「監査役」や「監査役会」などです。一般的な中小企業であれば「株主総会」と「取締役」は必ず設置しなければいけません。

STEP2 設立手続きに向けて、事前の準備を行う

上記STEP1で基本事項を決めると、自ずと必要書類等も決まります。商号が決まれば、商号調査を行い、法務局へ届け出る印鑑を作成します。役員構成が決まれば、取締役の印鑑証明書を取得する。といったようにですね。では、それぞれ見て行きましょう。

準備その1:発起人及び役員(取締役等)に就任する人の印鑑証明書を取得する

発起人となる方、また、取締役に就任される方全員の実印の印鑑証明書が必要になります。市区町村役場で取得できますが、有効期限は発行後3ヶ月以内となっていますのでご注意ください。

準備その2:類似商号の調査(管轄法務局)

STEP1で考えた商号が同一住所にないか、また、類似しているものがないかを調査します。この調査は、本店予定地の管轄法務局に備え付けられている「商号調査簿」を閲覧すれば簡単にできます。

準備その3:設立登記申請に必要となる会社代表者印(法人実印)を作成する

登記を行う際に提出する申請書に押印する会社の代表印です。代表印は、登記申請を行うときに一緒に届け出をしなければなりません。印鑑は申し込んでからできあがるまでの時間がかかる場合もあるので、類似商号のチェックが済み次第、早めの準備をおすすめします。

準備その4:事業目的の事前確認(管轄法務局)

STEP1で挙げた事業目的で、登記が可能か登記申請をする前に調査します。それぞれの法務局(担当登記官)によって裁量が違いますので、本店予定地の管轄法務局で調べなければなりません。また、許認可等を得るために必要な事項も確認しておくべきです。

STEP3 定款を作成する・公証人役場で定款認証を受ける

STEP1で基本事項を決め、STEP2で必要書類の収集や事前調査等、準備は終わりました。いよいよ会社の根本規則である定款の作成と認証に移ります。では、見て行きましょう。

定款を作成する

定款とは、会社の目的、内部組織、活動に関する根本規則を記載したものです。いわば、その会社の「憲法」のようなものです。定款には、必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」があるので、その漏れがないようにします。その他には、会社の基本ルールを記載しておきます。また、なるべく会社法の条文の用語に即して作成するので、重要な条文には目を通しておく必要があります。

[株式会社定款の絶対的記載事項]

  • 商号
  • 目的
  • 本店の所在地
  • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
  • 発起人の氏名及び住所
  • 発行可能株式総数
公証役場で定款認証を受ける

株式会社の設立に際して、発起人が最初に作成した定款(原始定款)は公証人の認証を要します(設立後の定款変更時は不要です)。定款認証は、「会社の本店所在地を管轄する法務局又は地方法務局の所属公証人」が扱うこととされています。実際には、会社の本店と同一都道府県にある、最寄りの公証役場の公証人から認証を受けるのが便利です。交通費の節約、移動時間の短縮になります。

公証役場での定款認証手続きの詳細は下記ページを参照ください。

なお、紙媒体ではなく、定款を電子化して認証を受ければ、印紙代4万円が不要になります。

STEP4 役員(取締役・監査役等)を決める

STEP1で機関構成は決定いますので、次に、具体的に誰が取締役になるのか?監査役になるのか?代表取締役には誰がつくのか?を決めます。そして、当該役員の就任承諾書を作成します。

就任承諾書を作成する

設立会社で代表取締役・取締役・監査役に就任予定となる方に、就任の意思があるかどうかを確認する必要があります。就任を承諾したことを確認した証明となるのが「就任承諾書」です。新たに就任される方の住所・署名・捺印をし、設立登記申請時に提出します。

設立時代表取締役選定決議書を作成する

取締役会設置会社は、設立時代表取締役を選定しなければなりません。この設立時代表取締役は1名に限られているわけではありませんので、設立時取締役全員を代表取締役とすることも可能です。設立時代表取締役は取締役会で選定されますので、その書類を作成し設立登記申請時に提出します。

STEP5 資本金を払い込む

次に、出資者(発起人)が出資金を振り込みます。通常はこの振込金額の合計額が設立する株式会社の設立時資本金となります。資本金の払込が終われば、それを証明するための書類を複数作成します。

払込証明書の作成する

「払込証明書」とは、発起人代表者個人の口座に、出資者が資本金の払込みを行い、代表者がその払込みがあったことを証明するものです。払込みがあった旨を記載した書面に、預金通帳の写しを合綴したものを準備します。

調査報告書を作成する(現物出資時のみ)

金銭以外で出資をすることを「現物出資」といいます。その出資物に不当に多くの株式が付与されぬよう、検査役の調査を受けなければなりません。いくつかの例外のひとつに、定款に記載価額の総額が「500万円以下」である場合は調査が免除されるというものがあります。一般的な中小企業はこの対象となり、調査不要となることが多いです。

資本金の額の計上に関する証明書の作成

会社が払込を受けた金銭・現物出資財産から、会社が負担するべき設立にかかった費用等を引き、登記簿に記載される「会社の資本金」を計算する書類です。現物出資がある場合に添付が必要となる書類です(金銭出資のみの場合は不要)。

STEP6 管轄の法務局で株式会社設立登記の申請を行う

いよいよ、最終段階に入ってきました。会社は、定款認証を受け、管轄の法務局に設立登記申請書を提出することによって、法的に成立します。では、見て行きましょう。

登記申請書を作成する

株式会社の設立登記申請は、会社の代表者が「会社の本店の所在地を管轄する登記所」において行うことになります。株式会社の設立登記申請書には、法定の書面を添付する必要があります。これらの書類の作成方法は、法務省民事局のホームページに基本様式が掲載されています。会社代表者の代理人(司法書士・弁護士)による申請でも可能です。

別紙(登記すべき事項)及び印鑑届出書を作成する

登記すべき事項をパソコン等で作成した別紙を準備します(または、登記すべき事項をCD-Rなどの磁気ディスクに記録して提出することもできます)。同時に、あらかじめ作成しておいた会社の代表印を登録するために、登記申請と同じ管轄登記所に「印鑑届出書」を作成して提出します。「印鑑届出書」の用紙は法務局に無料で備えられていますし、法務省ホームページからダウンロードすることも可能です。

※すべての株式会社において必ず登記しなければならない事項

  • 商号
  • 本店及び支店の所在地
  • 目的
  • 資本金の額
  • 発行可能株式総数
  • 発行済株式の総数並びにその種類及び数
  • 取締役の氏名
  • 代表取締役の氏名及び住所
  • 公告方法についての定め

なお、法務局に申請書類を提出した日が、会社の設立日になります。
(実際に法務局で登記事項証明書が取れるようになるには少し時間がかかりますので、申請窓口で、いつ登記が完了するかを確認しておきましょう)

STEP7 税務署などへ株式会社設立後の各種法人設立届出を行う

登記が完了すれば、会社の登記事項証明書や印鑑証明書が取得できるようになりますが、設立手続きはそれで終了ではありません。税務署や社会保険事務所への法人設立届等の提出がまだ残っています。では、見て行きましょう。

登記事項証明書、印鑑証明を取得する

設立登記が完了した後、①税務署等の税務関係機関、②労働基準監督署、公共職業安定所、③社会保険事務所へそれぞれ必要な届け出をしなければなりません。その際に、登記事項証明書(登記簿謄本)と法人印鑑証明書の原本が必要になってきますので、取得しておかなければなりません。

税務関係の届出を行う

会社を設立し営業活動を開始すると、国には法人税等を納付する必要があるため、税務署には各種の届出書などの提出をしなければなりません。また、都道府県と市町村には、地方税である「法人住民税」と「法人事業税」を納付することになることから、都道府県税事務所と市区町村役場の双方に、それぞれ法人設立届出書を提出することを要します。税務関係については、専門家である税理士等に相談した方がよいでしょう。

社会保険・労働保険関係の届出を行う

株式会社は、すべて「社会保険」への加入が義務付けられています(社会保険とは一般に「健康保険」と「厚生年金保険」です)。よって、会社設立後は速やかに、社会保険事務所に届書等を提出する必要があります。

また、労働者を1人でも雇った会社は、労働保険の適用事業となり、労働保険を納付することを要します(労働保険とは、「労災保険」と「雇用保険」との総称です)。この場合には、労働基準監督署と公共職業安定所等に書類を提出することとなります。

まとめ:設立後の適正かつ円滑な事業経営に向けて、スキルアップをはかろう。

設立後の適正かつ円滑な事業経営には専門知識(税理士・社会保険労務士)が一般的には不可欠。でも、あなた自身がスキルアップすることにより専門家は、必要ありません。一度体験してしまえば、なんだこんな程度の事だったのか。。。と、感じるはずです。無駄な出費は、極力抑えましょう。

ここまで、株式会社設立手続きの流れを見てきましたが、株式会社は、法務局での設立登記が完了したことをもって全設立手続きが終了とはなりません。

設立登記完了後、新設会社の登記事項証明書及び印鑑証明書(法人)が取得できるようになります。

これらの書類を元に、STEP7にも記載したように、

税務署・都道府県税事務所・市税事務所への「法人設立届」を、

役員、従業員問わず、会社から給料を払うのであれば、

年金事務所への社会保険届出、ハローワークへの雇用保険関係届出(原則、役員は入れません)、労働基準監督署への労災の届出等を、

それぞれ行う必要があります。

これらの作業は、事業主自身が行うのであれば、税理士・社会保険労務士の必要はありません。

弊社では、「いかに予算を抑えて、自信を持って介護福祉事業を運営できるか」をテーマにしております。

ですから、スキルアップするのだ!!

と、いう決意を持って臨んでください。

一度体験すれば、「なんだ、そんなもんか」と感じるはずです。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です